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尾形丈人
尾形丈人

作成日時:2018年10月15日

更新日時:2018年10月15日

活字離れvs活字中毒

近年叫ばれている活字離れですが、その一方で活字中毒になる者もいます。両方を経験したことのある著者が、両者を比較してみます。

活字離れvs活字中毒

意味や定義

活字離れの意味とは?

活字離れとは、書籍や新聞などの紙媒体を読む人や時間が少なくなっている現象のことです。

新聞発行部数と1世帯あたり部数は減少し続け、出版不況の際は活字離れが原因とする論調が目立ちました。

ただし、ここで注意したいのは、出版業界については、活字離れと出版不況との関連性が不透明であることです。

インターネットの普及により、文字を見る時間や人の多さは昔と変わっていないことは確実で、ゆえにこれは活字媒体からネット媒体に移動しているだけであって、「若い人の学力が低下しているから活字離れが起きている」という決めつけはお門違いではないかという指摘もあります。

まさにその通りでしょう。

新聞媒体の活字離れは確かなようですが、それ以外の論理は全て憶測になるので、活字離れが若者バッシングに利用されている実情は、不正確であることに他なりません。

この点は注意しておきましょう。

活字中毒の意味とは?

一方で、活字中毒という言葉もあります。

実はこの言葉はメジャーな存在で、活字離れ以上に検索結果のヒット数があります。(執筆時現在)

意味としては、日々、活字媒体に接し、読書をしている傾向や状態を指します。活字中毒に陥っている人を「活字中毒者」と呼ぶこともあります。

ただし、中毒者と言っても病的な類では無く、活字に興味のない人から見た一方的な偏見なのです。

ゆえに個人的には「愛読者」と言って欲しいのですが…。

影響や症状

活字離れの影響

活字離れの影響をもろに受けるのは、当然、出版社や新聞社です。日本新聞協会のデータによると、新聞社の販売収入も広告収入も減り続けています。一方で電子版の契約者はまだ少数派です。そう考えると、新聞社にとっては死活問題と言えるでしょう。

一方で出版社の場合は、先に言った通り、活字離れが原因で出版不況に陥ったのかどうかという問題点もあります。

文化庁の国語に関する世論調査では、全世代的に電子書籍を含めれば、不読率は減っているのです。つまり、読書をしなくなっているというのは大きな嘘で、単に電子書籍に移行しているというだけの話です。

ところが、活字離れ(紙媒体の不読率上昇)のデータに基づき、「若い世代が顕著だから国語力などの学力が低下しているせいだろう、けしからん」とするのは、事実誤認なのです。

若い世代ほど電子書籍に移行しているのですから、出版業界での活字離れ(紙媒体離れ)が起きているとしたら、それは当然のことです。

そう考えると、この種のデータを用いて若者バッシングを繰り返す報道姿勢には、疑問を持たざるを得ません。

活字中毒者の症状

一方で活字中毒者は、毎月たくさんのお金を出版社や新聞社に支払っています。(ただし、ネット上では、活字中毒者=小説の愛読者とするパターンが多いです)

そういった意味で、社会に悪い影響はないでしょうが、いかんせん中毒者です。活字が身近にないと寂しくなるという個人的に感じる症状はあります(笑)

以下に代表的なあるある症状を羅列してみます。

  1. 書店や図書館に毎日のように行く。暇なら行く
  2. 一日中、書店や図書館にいる。大型書店は活字中毒者の聖地
  3. 新聞休刊日は寂しい
  4. 移動中の暇な時などに活字媒体を持っていないと寂しい
  5. ゆえに活字媒体を常に持参している
  6. 最寄駅に着こうとしているのに、まだ読み終えようとしない。最悪、歩き読書をする

勝手に診断すると、この6項目中、4項目以上当てはまったそこのあなた!立派な活字中毒者ですよ!?(笑)

原因

活字離れの原因

活字離れの原因として一般的に言われているのは、ネット媒体の存在ですよね。利用者がネットに移行していると。

それはそうでしょう。いつでも手軽にニュースにアクセスできますからね。しかも無料。

また、新聞事業をする上でのビジネス環境が変わったにもかかわらず、紙面構成やビジネスモデルの見直しに取り組まない新聞社にも問題はあります。

競合にどんどん客を取られ、抜本的な改善策にも取り組まない、その上「若い世代の活字離れが原因で新聞が危機に!あいつらが全て悪い」みたいな主張をしていたら、そりゃ若い人は読みませんよ。

もはや新聞は「我々(若い世代)の敵」みたいな扱いになっていますからね。新聞社の偉い人は知っているのかな?

一方で、出版業界の方は、読書をする人は減っていないので、読者側の問題では無く、出版社側の問題であると捉えるのが筋でしょう。

ようするに、「魅力的な書籍が減ってきたので購入点数が少なくなった」とか「出版の乱用で自ら首を絞めている」といった原因が推測されます。

少なくとも言えることは、若者は悪くないです。

活字中毒の原因

活字中毒者になった原因は何かというと、当然根底に活字が好きだという親しみがあるためでしょう。

子供の頃の体験は重要で、幼い頃に「活字を読むって楽しいな」という経験をしていれば、当然、大人になってからも親しむのは明らかです。

ただし、それだけでは読むとは限りません。

私の経験を話せば、小学生時代はたしかに活字中毒者でした。毎日のように図書室や図書館、大型書店に行き、本や新聞を読んでいました。ところが、中学生以降は、受験勉強や部活で忙しくなり、活字離れになってしまいました。それは社会人になっても同様で、一人暮らしを始めた時も新聞は読んでいない期間の方が長かったです。読書量も減ってしまいました。

ところがある日、駅の売店で新聞を購入して読むうちに、小学生時代の楽しい体験が蘇ってきました。

すると、新聞の定期購読を再開したり、書店に行く頻度が増えるようになりました。

このように、なんらかのきっかけと習慣化によって、活字中毒者になっていくのではないかと思うのです。

すなわち、活字中毒者の原因は、「活字媒体への愛着」と「愛読が愛読を呼ぶ習慣化」によって強化されたものだと思われます。

活字離れ問題への対策

先の私が中毒になった事例に基づけば、活字離れへの対策としては、教育を通じて楽しい体験を経験させることと、購読の後押しをするということが挙げられるでしょう。

後押しの事例としては、読む必要性を上げることです。地方紙なら全国のニュースを削ってでもさらに地方色を強めるとか、特集記事の内容を深くして読み応えを高めるといった、「これは読んでおこう」と思わせるようなコンテンツ制作をすることなどが挙げられます。(ゆえに大衆誌のように、薄っぺらいコンテンツのみの掲載では必要性が感じられないため、購入しないという現象が起きます)

ただ、それと同時に、特に新聞社はジャーナリズムや取材網を守るためにも、購読収入や広告収入に頼らない事業形態に移行することも考えなければなりません。

つまり、新聞事業以外の収益性のある事業をして、ジャーナリズムを守るのです。

このあたりは、経営体力のある今のうちに、なんとかしておかなければならないでしょう。

あなたのなりたい活字スタイルは?

活字離れになりたい

活字離れやテレビ離れは全然悪いことじゃありません。なぜならば、過度の情報量のシャットアウトをすることによって、ストレスが減るからです。

要するに情報ソースの断捨離です。

断捨離したら、それはそれで快適ですよ。スッキリしますから。

ですから、「活字離れ」だとか「テレビ離れ」だとか言って当事者は批判しますが、利用者からすれば「コンテンツに魅力がない」とか「不要な情報量が多すぎる」とか、ちゃんと理由があるのですから、コンテンツを提供する側の皆さんはその理由を一つずつ潰していってください。

現在の情報過多の社会にストレスを感じている方は、むしろ活字離れ、テレビ離れをお勧めします。

活字中毒者になりたい

一方で、活字中毒者になりたいという需要もあるそうです(?)

活字中毒者になるためには、まず好きな活字媒体やそのジャンルを見つけることです。新聞ならどこがいいのか、本ならどのジャンルがいいのか、好きな活字媒体を気軽に読むことから始めてみましょう。

まれに、「新聞は教養を身につけるのに最適である。ゆえに全部の記事を読め」などというインテリもどきがいますが、情報を素早く選択する技能が求められる今日の社会において、要らない情報や興味のない情報まで全部読めというのは、ただのバカです。

また、読むだけでは教養は身につきません。どう活用するかが重要なので、そういった観点からしても、無理をして活字を読み込む必要は全然ありません。

まとめ〜不器用なメディア〜

活字離れでネットを使ってもいいし、大量の情報をシャットアウトしてリラックスするのもいい。活字中毒者になって、活字を楽しむのもいい。

ようは、自分に合った情報コミュニケーションを各々が追求し始めるということが大切なのです。

それなのに、事業者の方は対応できず、四苦八苦しているわけですね。

四苦八苦するのは構いませんが、若者だとか利用者が悪いとする風潮は、傲慢そのものです。

活字離れも活字中毒もあって然るべきです。

社会の流れの変化に耳を傾けることが、今、メディアに求められているのではないでしょうか。

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